Distance of LOVE☆
「ん…」


目が覚めると、いつもなら真っ先に視界に入るはずのグランドピアノが見えなかった。

何で…?

ふと後ろを振り返ってみると、寝る位置が枕の場所と逆になっていたのだ。

…納得。

それに、頭がズキンと痛む。

月光を弾いた記憶しかないし…

カチャリとドアが開いて、アルプスさんが姿を現した。


「和、いい寝顔してたぜ。 前世、ホントに子犬じゃないの?
パピーっていうあだ名の通りにね?」


お酒に酔って寝てしまっていたらしい。
あ、だけど、4杯もビール呑んだし…仕方ないか。
悠月なんて、1杯半でダウンしているだろう。


「ってか…アルプスさん? 和なんて呼んでいいのは…悠月だけっていう僕の中でのルールなんですけど?」

「ごめんごめん。
ちょっと、呼んでみたくなってさ。」


って…今…何時?


ふと、時計を見る。
11時!?

やべっ…バイト…


僕もアルプスさんも、あのカフェでピアノを弾くっていうバイトをしている。
だからあんなに、皆仲がいいし、
長い間居られるんだ。


「バイト、1時からだから大丈夫だよ。
パピーの好きなハンバーグ作ってあるから、食べれば?」


そう言ったアルプスさんに、エサを待っていた子犬のような勢いで飛び付く。

…だけど。


「あ、パピー宛にエアメールが来てたぞ?」


エアメール…

送ってくるなら、プロデューサーさんか悠月かな。


ハンバーグ食べ終わったら読もう。


そう思って、手紙を持ってリビングに向かった。
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