Distance of LOVE☆
〈雅志side〉


「クスッ…可愛いなっ…」


俺が布団を掛けてやると、すぐに夢の世界へと旅立った、俺の愛する人。


思わず笑みが溢れるくらい、寝顔が可愛い。


それにしても…思ってなかったな。
まさか…こんなことになるなんて。

それは…俺がようやく診療を終えて、一息ついていたときのことだった。


「雅志くん。
今…フランスにいる彩ちゃんから電話があって…
奈留ちゃんが入院しているそうだ。」


「え……奈留、が……?」


入院って…なんでそんな…
まさか…事故にでも遭ったのか?

それとも…何か深刻な病気とか…?

嫌な想像ばかりが頭を駆け巡る。


「奈留ちゃん、妊娠しているらしい。
そんな中、お腹に暴行を受けて…」


「流産…ですか…?」


だてに…医者の息子をしていない。
それに…1年ほど前の佳奈ちゃんの件もあって、自主的に勉強もしているのだ。
妊娠は…何も人間だけに関わるものじゃないから。


「まだ決まったワケじゃないが…
可能性は、極めて高い。
殴られた直後…激しいお腹の痛み、さらには、病院に搬送された直後、出血もみられたそうだからな…」


頼れる人…といったら、奈留の母親くらいしかいない。


「あの…奈留の母親…
朱音さん…でしたっけ?
連絡…つかないんですか?」


「大丈夫だ。
今、ちょうど、研修でフランスのほうの病院に行っているらしい。
何でも、そこの院長にお世話になったとか。」


じゃあ…処置のほうは安全か…

でも…

流産なんて…

俺が何かしてやれるわけじゃないけど…

側に居てやることくらいは…

"流産した"なんて事実…奈留1人じゃ…絶対抱えきれない。


だからといって、今から成田空港に向かうとしても、時間がかかりすぎる…


ふと、ほど近いところからジェット機の飛行音が聞こえた。


その音は…この病院の隣の土地に着陸して止まる。

え…
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