Distance of LOVE☆
まず一発目がアルプスさんのバイオリンとフルート。

んで…ウィルソンさんは…シンセサイザー。


んで、僕のピアノやらギター。

その後に、僕が指揮を振るオーケストラ。


僕の指揮は相当立派だったのか、会場中から拍手喝采が沸き起こった。

そんなに立派だったのかな?
一生懸命指揮を振ってたから、全然分からなかったけど…


「カズ!!」


という声援に交じって…「パピー」という声援まで。

絶対…アルプスさんたちだな…


指揮振ったあとって…疲れるんだよね…

だけど…まだまだサプライズがあるんだ。


僕の大事な人に向けた…今日の音楽祭でのメインイベントが。


僕が、プログラム上では最後の曲を演奏し終わったとき。

司会者のアルプスさんから…僕にマイクが渡る。

と、同時に、モニターが下ろされ、
多くの報道陣もカメラを向ける。


「今から…重大な発表をしようと思います。
僕…三ノ宮 和之は…しばらく、ここウィーンには戻りません。」


一息置いて、カメラのフラッシュがより強くなったのを感じてから、言葉を続ける。


「というのも…僕の大事な奥さんが…新しい生命をお腹に宿しているからです。僕と彼女の…愛の結晶を。……その、大事な奥さんとは…」


そこで、僕の周りを照らしている唯一の照明を除いた全ての照明が消され、客席を照らす…ただ一つのスポットライト。


その明かりに照らされているのは…

他でもない、僕の大事な奥さん。

三ノ宮 悠月。


「おいで。
……悠月。」


そう言って、ステージ上から呼びかける。


すでに涙目の彼女は、ゆっくりとステージに上がってくる。


スポットライトに2人が照らされる。
彼女に何か言って、と口パクで指示。


「あの…何て言ったらいいか…よく分かんないですけど…
幸せ者ですね。和は。
自分の作る音楽を…こんなたくさんの人に愛してもらって。
受け入れてもらって。

だからこそ…ここを離れるっていうのは、和にとっても…すごいツラい決断だったと思うんですが…」


もう、僕の隣で涙ぐんでいる彼女。

ゆっくりでいいよ、というように、肩を抱く。
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