Distance of LOVE☆
意識せずとも出てしまう欠伸を噛み殺しながら、日本の空港をキャリーバッグを引く音と共に歩く。


「久しぶりだな~、日本。」

2ヶ月ぶり…か。


僕が今日来ることは、悠月には内緒にしてある。


知ってるのは…プロデューサーさんだけ。


さっそく、タクシーでホテルに向かう。


「和之様、お部屋にご案内いたします。
もちろん、ピアノもございますので、
どうぞご自由にお使いください。」


ホテルに着くなり、僕を部屋まで案内してくれたボーイさんにニッコリ笑って会釈をした。

さっそくピアノを弾こうとすると…

隣の部屋からはギターの音色が聞こえた。

…聞き覚えがある。
当然だ。
僕が楽譜を書いたんだから。
ある人のために。


その、彼女の携帯を鳴らす。


「和之っ!?」


1コールで、僕の愛しい人の声が。


「ふふ。
悠月、元気だね?」


『テンション高くもなるって~!
和之、全然連絡くれないんだもん。
プロデューサーさん、和之にまで招待状送ったのに……私ね、今ギター練習中なんだけど…
和之みたいには弾けないな…
こんな音色、隣の人に聴かれたら笑われちゃうよ~(笑)』


電話をしながら、ギターの音色が聞こえた左隣の部屋に移動して、ノックをする。


『あ、待ってて?
誰か来たみたい。
一回…切るね。』


「切らなくていいですよ。」

『え~、でも、失礼だ…っ…「んふふ。」


「やっと…また会えましたね?
…悠月。」


「和之っ…!」


僕なりの、精一杯のサプライズ。
ケータイをそっと傍らに置いて、僕に思い切り抱きついてきた悠月。
僕も抱きしめ返す。
しばらくそのまま、抱き合っていた。
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