Distance of LOVE☆
「だけど…私のためにって…いつも自分の好きなことより、私を優先してくれる和が大好きです。
……ありがとう。
応援してくれる皆さんのためにも…ちゃんと元気な子を産んで、今度は3人でここに戻ってこようと思います。
私たちの計画では…生まれてくる子が小学校に上がったくらいのときに…また和はウィーンで活動します。
それまで…和は戻らないけど…日本から…素敵な音楽を届けるので、応援、よろしくお願いします。」


言い終わると、ゆづが一礼した。


「と…いうことです。
実は…このことをお伝えしたくて、この音楽祭を開いてもらったというワケなんです。」


会見が進むにつれ、プライベートなことまで質問が飛び交う。


お客さんたちは、様々なプラカードを持っている。

『Statue of happiness」弾いて!!』


『チューして!!』


などの要望から、


『いつまでも待ってるよカズ~!!』


「安産祈願」


といったものまであった。

皆…優しいな…


じゃあ…2つだけ…リクエストに答えておきますか。

「大丈夫?
カメラのフラッシュ…
一瞬だけど…遮ってあげようか?」


「え…?」


「んっ…」


彼女にプロポーズしたときよりも…深いキス。


会場からは、もちろん拍手喝采。


「お幸せに!!」


なんてプラカードも増えるなか、


最後のリクエストに…答えてやる。


「えー、この曲が、僕のウィーン滞在での最後の演奏です。

…それでは、聞いてください。


『Statue of happiness』。

彼女との久しぶりの連弾を終えると、
会場からはスタンディングオベーションが。


そこで、アルプスさんがTVをつけると、速報としてテロップが出て、僕の会見のことがかなり大きく取り上られていた。
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