Distance of LOVE☆
読んだ後…思わず笑みがこぼれた。


「こんなの…いつ書いたんだよ…」


そう呟いてから、
僕も、手帳の傍らにあるペンを取って、文字を書き付けていく。


「悠月。

ありがとう。
なんかね、これでも緊張してたんだよ?
指揮振っているとき。
本番前に…ゆづの笑顔見てたら…一気に緊張が解けたの。
悠月の笑顔は、本当に天使の笑顔だね。
すごい癒される。

不安だったんだよ?
大丈夫。不安だったのは…僕も同じ。
オーストリアだけじゃなくて、チェコとかポーランドの人にも僕のピアノやらギターが好評だってアルプスさんづてに聞いたとき、思ったの。
…このまま…ウィーンにいたほうがいいのかなって。だけどね。
父親と離れて暮らしてると…子供に悪影響かなって。ちゃんとね、教えてあげたいの。
"人を愛する"ってどういうことかって。
それはね、絶対…悠月一人だけじゃ不可能だから。
僕がいないと…無理かなって。
それに…僕と離れたとして…寂しがり屋なゆづのことだから、絶対泣いちゃうでしょ?
子供に心配かける母親には…させたくなかったから。
あの宣言のあと、皆からブーイングもくることも、「一生ウィーンに帰ってくるな!」なんてね、言われることも覚悟してたんだけど。現実は…真逆だったね。
皆…温かい拍手で受け入れてくれて。
"おめでとう"とか…"子供を連れてウィーンに帰ってきてね!!"とか…温かい言葉かけてくれて。
ウィーンにきて…こんないい人たちに恵まれて…僕は幸せものだなって思いました。
だけど…一番の幸せはね?
大好きな悠月と家庭を持てたこと。
子供っていう宝物まで…授かったこと。
ありがとう。
悠月と出会えて…愛されて。
本当に幸せです。


子供の母親として…一人の女性として。
ちゃんと愛してあげますから、心配しないでください。
僕の前では…甘えんぼ少女な悠月ちゃんでいさせてあげます。

そっちのほうが数百倍…可愛いですからね?

愛してますよ。

和之。


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