Distance of LOVE☆

特別指導

ウィーンから、帰ってから翌日の午後。

スーツに着替えて、出かける準備。

どこに行くのかって?
浮気なんかしに行かないですからね?

僕は悠月しか好きになれないし、愛せないですから。

「和~?
どこ行くのっ~?」


時差ボケがひどくて、さっきまでぐっすり眠っていた僕の大事な奥さん、悠月。

「寝てていいのに…
まだ眠いだろ?それに…そんな身体なんだし。」


そう言うと、眉を八の字に下げるゆづ。
なんか…ご主人が出かける前の飼い犬みたいに見えて…
ほっとけなくて。


「知りたい?
どこ行くか。
じゃあ…大体でいいや。今何時か分かったら、連れていってあげてもいいけど。」


今…正確に言えば3時30分なんだけど。


「うーん…3時くらい?
ちょっと小腹空いてきたし。」


「まあ…ホントは3時30分だけど。
大体でいいって言ったから…正解にしておくよ。」


「…まあ、でも、一緒に行ってもいいことないよ?
僕の母校行くだけだし。」

頼まれてたの、すっかり忘れてたんだよね。
僕の母校の吹奏楽部、全国大会の常連なんだけど…最近前まで引っ張ってくれてた先生が異動しちゃったから、指導する立場の人がいないんだって。

まあ…あの、春香ちゃんのいとこのコンサートに来ていた先生から頼まれたんだけど。


「和の母校、ちょっと気になるかも。
行こうよっ!!」


ゆづ…はしゃいでるけど…大丈夫?

まあ…一人にさせて何かあるよりはマシか。


ゆづが用意を終えるのを待って、車で自分の母校へと車を走らせた。
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