碧眼の天姫―刀の後継者


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「ここ…は…………」


目を覚ますと見知らぬ木造の天井が視界いっぱいに広がっていた。


「あたし…眠って……?」


ゆっくりと起き上がり部屋を見渡す。


やっぱり見覚えが無い。
ここは何処なんだろう…


見知らぬ空間に一人でいるせいか、とてつもない不安が襲ってくる。


嫌だ…此処にいる事が何でこんなに恐いんだろう…


「此処は…どこ………?」

「お前の部屋だよ、美琴」



突然聞こえた声に驚いて慌てて振り返る。



そこには黒髪で優しげな表情をした男の人が立っていた。


「…だ…れ………?」

「本当に忘れたんだな…
なら都合がいい……」



優しげな表情から一変、不敵な笑みへと変わる。


―ゾワッ


悪寒が体を襲う。



何…この人………恐い…



笑ってるのに…
何かがおかしい…


「俺の可愛い美琴………
俺は美琴の味方だ…さぁ…こっちに来るんだ」


―ズリッ


ゆっくりと男の人がこっちに歩いてくる。


…どうしよう……
逃げなきゃ……逃げなきゃ…



「…ぁ…ゃ……て……」



―助けて…お願い…助けて…



「やめてーっ!!!!!」


―ガシャーンッ



両手で耳を塞ぎしゃがみ込む。



恐い恐い恐い恐い恐い…
お願い………お願い……



「…………助けてっ……」



ギュッと目をつむり、視界と音を遮断する。


ただじっと訪れるはずの恐怖が過ぎるのを待っていると……








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