碧眼の天姫―刀の後継者


「う…ぁ…………」


うめき声が聞こえた。
ゆっくりと目を開ける。


そこには………


「嫌っ…何…これ……」


ガラスが割れ、天井が崩れ落ちている。
男はその下敷きになっていた。



「みこ…と…………」


瓦礫の中から男は手を伸ばす。血に濡れた赤い手があたしに助けを求めるように宙を切った。


「…こと……けて……」


助けて……
助けて……


何度も助けを求めるその手を、あたしは掴めなかった。


やがてその手は瓦礫の上に横たわったまま動かなくなった。








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