碧眼の天姫―刀の後継者


「我等とお前…今や同族の鬼。いや…天姫という立場で分かったはずだ。人間の為に命を賭ける事の愚かさが…」


―ガキンッ


「その話は前にもしたはずよ!!人間は愚かだ…それは認める。それでも…彼等は失敗を反省し前を向いて立ち上がる賢さと強さがある!!あたしは…そんな人間の強さを知ってる…だからこそ信じたいの!!」


―キンッ


「っ…だが…それを待っていては我等は滅び逝くだけだ!!」


氷鬼は感情を表にして刃を振るう。


またあの時の繰り返し…
分かり合う事は出来ないの…?



あの時沢山聞こえた天姫達の言葉を思い出す。


この無駄な争い。
鬼と人のすれ違い。
火鬼への憎しみ。


「先に刃を向けたのはあなた達。滅ぼす前に、言葉を交わさなかったのはあなた達鬼よ!!そして…そんな中で火鬼は生まれた」


人を喰らい、殺戮する事に喜びを見出だすモノが生まれてしまった…


火鬼は罪の形だ。



「気付いているはずよ、火鬼はイカレてる。あれに情や言葉は通じ無い。心なんて存在しない。あれは…人を憎んだ鬼達の思いがあれを生み出したに他ならない!!」



―ザシュッ


それに動揺したのか、氷鬼の動きが一瞬止まる。


それを見逃さずに攻撃を与えた。



「…くっ……人と語り合うなどっ……」


「あなたとあたしが言葉を交わせたように…鬼と人は言葉を…交わせたはずよ」


あたしは決して氷鬼から瞳を逸らさずに語る。









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