碧眼の天姫―刀の後継者


「……………………」


刀からは鬼の血が滴り落ち、地面に赤黒い染みを作る。


街灯に照らされたあたしは多分、幽霊より恐ろしいと思う。


「……大丈夫……?」


振り返ってそう尋ねると、女の子は悲鳴を上げて走り去る。


「……………………」



やっぱりね…
あたし今酷い格好だろうな。


これじゃああたしも化け物か。あの鬼と同じように恐れられる…


―ビュン!!!


刀を勢い良く横に振り、血を弾き飛ばす。


それを男はじっと見ていた。


「…あんた…逃げ出さないの?」



いつまでもそこに立ち尽くす男にあたしは苦笑いを浮かべる。



それとも恐すぎて足、動かなくなった?








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