碧眼の天姫―刀の後継者
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「ただいまー…」
買物袋を手に、俺は家に上がる。
少し遅くなっちゃったかな…
美琴、お腹減ってるだろうな…
―ガチャッ
「美琴、ごめん遅くなって。今ご飯…作る…か…ら…」
リビングの扉を開けた。
そこは確かに俺の部屋なのに、何かが足りなかった。
あぁ…そうだ……
「美…琴………?」
美琴がいない。
俺がいない間に鬼でも出たの…?
でも何だろう……
落ち着かない。
胸がザワザワする……
―リィィィン
『千年…』
鈴の音と共にツチノカミが声が聞こえた。
「ツチノカミ…?」
『天宮の娘はもうここへは帰ってこない』
ここに帰ってこない…?
それって……
「どういう意味…?」
『天宮の娘の覚悟は決まったようだ…』
覚悟…?
覚悟って何だよ?
俺頭悪くなった?
ツチノカミの言ってる事がわかんない。
『お前の傍でなく、孤独を選んだ』
「美琴、俺の傍にいるって約束…」
約束したのに…?
傍にいるって、一緒にいるって!!!!
『あの娘は何が一番最善かを悟ったのだろう』
「…最善って何?」
美琴が死んで世界救って、俺達がのうのうと生きる事?
知らない男に抱かれるのを仕方ないって諦めて子孫を残す事?
「それじゃあ…。誰が美琴を幸せにすんだよ!!!!」
誰が!!!!
美琴に幸せな時間を許してやるんだよ…
十分戦ってきたじゃん…
ずっと一人で…
もう頑張ったじゃん…