碧眼の天姫―刀の後継者


「私はもう、ただ従うだけの手駒にはなりません。愛する人と生き、その世界を守る為にこの刀を振るいます」


あたしの本当の願い。
命を賭けて守る。


「天姫に、意思など許さぬ。私達とてその願いの為に世界を滅ぼす事は出来ない」


あたしの意思一つで世界を…
確かに、今までの方法はこの世界を守る為の最善の方法。


天姫の犠牲と引き換えに…


あたしは世界を滅ぼそうとしてるの……?


「違うよ、美琴と俺は世界を滅ぼすんじゃない、守るんだ」


迷うあたしの手を、千年が握ってくれた。


「千年………」


ありがとう……


「美琴にだって幸せになる権利がある、あんたが認めなくたって俺が無理矢理にだって幸せにするよ」


千年はあたしを庇うように前へと出た。


千年の背中………


ちゃんと見たの初めてかもしれない。



千年の背中……
こんなに広かったんだね…


あたしを守ってくれる頼もしい千年をあたしは…


「千年を愛しています、傍で寄り添って生きていきたい、だからあたしは全力で戦えます」


これはあたしの意思。


「俺は美琴の傍にいて、美琴の為だけに刀を振るうよ。でも……」


そう言って千年があたしの手を引いて立ち上がさせる。


「美琴が必死に守ろうとした世界なら、俺も必死に守る」


千年は笑みを浮かべて、繋いだ手に力を入れた。


まるで誓うように…









< 269 / 330 >

この作品をシェア

pagetop