碧眼の天姫―刀の後継者


「私は、草助様を恨んだりしません。草助様はいつも自分だけが悪役だったんです。私は草助様が本当は優しい方だと知っておりました」


冷たい氷鉄の仮面を被り、いつだって冷徹に、無関心を装っていた。


それが草助様の痛みだと知ってた。


だからもう………



「草助様も、草助様らしく生きて下さい。どうか天宮や白蓮の血に苦しまないで下さい」


もういいんだ…

皆が生きたい道を選べばいい。


何者にも捕われる事なく、ただ風が吹くままでもいい。


決められたレールじゃなくくたっていい。


生まれや伝承にとらわれなくていい。


「一人一人に生きる権利があって、望み選ぶ権利があるんです」


心があるから……
だからこそ人を愛せる。


「それを千年が教えてくれたんです」


隣の千年を見れば、千年は笑みを向けてくれる。


「自分も幸せに出来ないのに、他人を幸せにするなんて無理だよ。だから俺は自分が幸せになる為に千年を幸せにする」


千年はあたしを抱き寄せる。触れ合う肩が温かかった。


そう……
あたしは今幸せだ。


この世界で最も大切な人が傍にいるんだから…











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