碧眼の天姫―刀の後継者
「でも、もう離れないって決めた。傍にいるって…」
約束…したから。
「そうだよ、美琴」
あたしの呟きを聞いていたのか、千年が満遍の笑みをあたしに向けてくる。
手には買い物袋を持ったままだ。
あれ…?
この笑顔に違和感を感じる。
「約束、したんだからもう俺をおいてどこかいっちゃうなんて事…しないよね?」
笑みが冷たい……
背筋が凍りつく。
「…返事」
「ぁ…ごめ………」
「ごめん?」
またさらに笑みに気迫がプラスされた。
「あ、いや違っ………」
「…本当…」
―フワッ
気付いたら近くにいた千年に強く抱きしめられる。
「いなくなったら恨むよ?」
「いなくならないから…」
「もう信じないって決めたんだよね、俺」
千年………
確かに、あたしは千年を裏切りすぎた。
嘘をたくさんついて……
「だからさ、俺が勝手に美琴から離れない」
「え…」
「絶対に俺は美琴から目を離さない。どうやら美琴は、首輪でもつけてないとどこかにいっちゃうみたいだから…」
―サラッ
抱きしめられたまま、後ろの髪を払われたのが分かる。
それから……
「冷たっ…」
「うん、出来た!」
首に一瞬の冷たさを感じた。それからその冷たさはあたしの体温に溶けていった。
最後に残ったのは、首にかけられたものの重さだけ。
そっとそれを手にとると、そこには…………