碧眼の天姫―刀の後継者
「ねぇ、千年」
「何?」
「全てが終わったら…」
この戦いが終わって、何気ない日々を千年と過ごす事が出来たなら…
「終わったら?」
「…………この島の外へ行きたい。千年の生まれた、あたしの知らない場所へ…」
千年が過ごしたあたしの知らない時間を知りたい。
「美琴……」
「千年の育った世界を見てみたい。あたしが千年の事を一番に知りたいから…」
誰よりもあなたを知っていたい。誰にも知らないどんな思い出も…
あたしのモノにしたい。
「…俺の全ては美琴にあげるよ。俺も美琴に知ってほしい。この狭い島の外に、どんなに広い世界があるのか、俺達が守る世界がどんなに輝いてるかを…」
千年はあたしの額にそっと口づける。
「大丈夫、絶対に見に行こう。…約束」
千年はあたしの小指に自分の小指を絡ませた。
"ゆびきりげんまん"
唄うかのように小指を軽く振る。
でも、なかなかその小指を離す事はできなかった。
「あたし達は大丈夫…」
「あたりまえ♪」
お互いに微笑み合い小指を離す。
本当は不安だったのかもしれない。
この小指が、温もりが…
この先の戦いで、消えてしまうのではないかと……