碧眼の天姫―刀の後継者
「しっかりして、美琴!!」
「ん…大丈夫。千年のおかげ…」
あたしは刀を握りなおし、火鬼を見据える。
「天姫カァ…会イタカッタゾ…我ノ恨ミ…ハラシテクレヨウ!!!」
―ダンッ
火鬼は地面を蹴り、一気に距離を詰める。
「くっ…」
―ガキンッ、ガキンッ!!
火鬼の剣を受け止め、目にも止まらぬ速さで反撃をする。
「美琴!!」
「大丈夫!!!千年は隠れてて!!」
―ガキンッ
すごい力っ…
あたしが鬼でなきゃ、避けられなかった。
―邪封の謡
『「邪は此処に消え、残るは清き神の御息なり…」』
―スッ
空気が清められていく。
火鬼の力が少し弱まった。
『「御息は地を清め、新たに神気を生み出さん」』
これが…千年の力…
始めに、千年が力を使った時、何故か懐かしい感じがした。
千年の歌が、母様の歌に重なる。
そうか…母様の力…
…母様は……千年に…
千年にその力を授けたのですね…
私を守る為に……
『「此処は、神域なり」』
―リィィン
「グギャギャーッ!!」
鈴の音が鳴り響き、鬼が苦しみ出す。
今ここは、神域となったのだ。あらゆる邪を許さない清い場所に変わった。