碧眼の天姫―刀の後継者
「……………触るな…」
あたしは火鬼を睨みつける。火鬼は驚いたようにあたしを振り返った。
「オ前…ハ……何ダ…?」
あたしの髪は白に代わり、碧と紅の瞳、そして……二本の長い角が生えていた。
…これは…鬼の姿……?
自分の手を見ると、長くて鋭い爪が生えている。
目の前の火鬼と変わらない、化け物の姿だった。
「………それでも…」
千年を守る事が出来るなら…
化け物であろうと構わない。
あたしは白い光を纏い、火鬼へ刀の刀先を向ける。
『美琴…我が力、存分に使え』
―パァアアアアッ
天鬼の力が膨れ上がり、刀がまばゆい光を放つ。
「鬼トナッタカ…天姫ヨ。面白イ…」
―バチバチバチッ
火鬼の爪が、膨大な炎を纏う。
もしかしたら…
あたしは生き残れないかもしれない。
あたしが勝つか、相打ちか…やられるか…
「千年…」
「美琴!!」
「今までありがとう…」
これで、お別れになるかもしれないから…
「何言って…」
「大好き、千年…」
あんたの為なら、この命くれてやる。
「はぁああっ!!!!!」
「ウォォォォォォッ!!」
―バァァァンッ!!!
強大な力がぶつかり合う。
―バチバチバチッ
皮膚が焼ける臭いがした。それでも刀を離さない。