優しい涙
「入りなさい」

「はい」

「A7の調子はどうだ?」


「はい、問題ありません。ただ…」

「ただ?」


「冬になると暇になるので、何か仕事を教えようと思っています…」

一気に言い終えた僕に藤波様は「そうか」と満足そうに微笑んだ。


「それなら、私もA7に出来るような仕事を探しておこう」

「ほ、ホントですか?」

「ああ。A7は仕事をしていると調子がいいようだしね。

出来るだけ長くここにいてもらわなくては、おまえも寂しいだろ?」


藤波様のいたずらっぽい視線がくすぐったくて、僕は「はい」と答えてから、少しだけうつむいた。


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