優しい涙
人の一生は、僕達に比べて驚くほど短いのだと、藤波様は笑って言った。


『人間の愚かさや、はかなさ。

繊細さやたくましさを、おまえの目でしっかし見て感じなさい』


藤波様は僕の頭に手を乗せ、ゆっくりとなでた。


藤波様が言う通り、人間はあっという間に一生を終えるのかもしれない。

けれど、僕はこの暖かさを忘れない。


通りすぎていく、いくつもの季節と様々な人間に触れ合い、感じた気持ちは永遠に僕の中に残るだろう。


だから、きっと…

いつまでも、僕の気持ちは暖かい。


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