優しい涙
「彼女が好きかい?」

藤波様は小さな子供に問うようにささやいた。


「別に…そんなんじゃ、ないです。僕はただ……」

言いかけて口ごもり、僕は無意識に膨らんだ頬をあわてて、しぼませた。


これじゃ…本当に小さな子供みたいだ。

朝からずっとA7を見ていたのは本当だし、彼女を好きなことにも変わりはない。


僕はムダな言い訳を抑えるため唇をかんだ。

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