優しい涙
「ねぇ!お疲れ様!」

僕は朝から草むしりに没頭している彼女に、声をかけた。


「…」


返事はない。

代わりに聞こえてくるのは、ジジジ…といういびつな電子音。


彼女の動作はぎこちなく、今にも動かなくなりそうでヒヤヒヤする。


それでも懸命に草むしりをする彼女の背中を、僕は黙って見つめた。



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