優しい涙
A7がこの屋敷に来て、どのくらいの年月がたっているのか、わからない。

旧型のアンドロイドである彼女は、はっきり言って、もう何の役にも立っていない。

外見は何度も修復され新型に近いリアルさはあるけど、動きはイビツだし会話は子供以下だ。


観賞用にしたって、あちこちの破損部を修復した傷口が目立ち、見ていてあまり心地のいいものではない。


何度も廃棄されそうになったけど

『A7はまだ動きたいんだ。今しばらく置いておこう』

藤波様の好意でなんとか、ここにとどまっている。


でもA7には草むしりがある。

自分にしか出来ないことと思い込んでいるのか、とにかく毎日必死だ。

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