優しい涙
A7は草むしりの手を止め、ジジジ…と僕の方を振り向いた。


A7のガラス玉みたいな目に、僕が映っている。

A7はジジジと…首を傾げ

「スキ、デス」

それだけ言ってまた草むしりを続けた。

はぁ……

僕はため息をついてA7の背中を見た。

A7にこんなことを聞いたって、何の意味もない。


A7が僕を好きなことは知ってる。

もともと子守型のアンドロイドとして開発されたA7は、僕の童顔を子供と判断し、出会ってすぐに気に入られた。

いつだったか、こんなことがあった。
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