優しい涙
それはひどい雨ふりの日。


朝方に降り出した小雨は、次第に強くなり、昼過ぎには強風をともなう暴風雨となっていた。


テレビの台風情報を見て、朝に草むしりの準備をしていたA7を思い出した。


あわてて、庭にかけつけると吹きつける強風の中、A7が草むしりをしている。


「A7、やめなよ!台風が来てるんだよ!」

A7は僕の声に一瞬、振り向いたが

「マダ、ヤリマス」

再び、続けた。


「無理だよ。飛ばされちゃうから。それに長く雨にあたったらさびちゃうだろ」


僕はしゃがみ込んでいるA7を無理やり引き起こし、ズルズル引きずりながら軒下まで避難させた。

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