優しい涙
黙ってはいけない。


ここで黙ってしまえば、藤波様にまた同じことを言わせてしまう。


『言いたいことがあるなら、ちゃんと言いなさい』


藤波様がいつも僕に言う言葉だ。



何か、言わなくちゃ…


藤波様に手間をかけさせたり、迷惑になることだけは、何としても避けたいのに。


焦れば焦るほど、言葉が浮かんでこない。


言葉で自分の感情を説明するのは本当に…苦手で…



それでも、やはり黙っているのは申し訳なくて、僕はモゴモゴと懸命に口を動かした。
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