優しい涙
実家である工場から藤波邸まで歩いて向かい、着いた屋敷の大きさに言葉を失ったこと。



大勢の人に囲まれ緊張して何も言えなくなってしまったこと。


僕の挨拶に半日つきあってくれた人がこの屋敷の主(あるじ)だと知り、驚いたこと。


みんなから厄介者あつかいされながらも、使命を果たそうとするA7を見つけたこと。



A7の動きが鈍くなるたび、こまめに油をさす藤波様の姿を見かけたこと。



藤波様のことがもっと知りたくなって、屋敷中の人達の声に耳をすましたこと。


そこで聞こえてきた のは…


藤波様への誹謗(ひぼう)と中傷の声だった。


< 57 / 113 >

この作品をシェア

pagetop