優しい涙
屋敷内で聞こえてくる声に、僕の体内はズキズキと激しく痛んだ。


藤波様はなぜ、僕やA7に優しくしてくれるんだろう。



僕らに優しくしても藤波様にいいことなど、ひとつもないのに。


屋敷の人達が言うように機械には機械らしいあつかいをした方がいいんだ。



A7を廃棄処分して新しい草刈り専用のマシーンを買えばいい。



僕なんかより、もっと役に立って力のある、いざという時に藤波様を守れるような、そんなアンドロイドを雇えばいい。






でも、藤波様は、僕らを決して見捨てない。

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