優しい涙
A7は、そんな世間の情勢など、多分まったく知らない。


僕はひたすら草むしりをするA7を、ずっと眺め続けていた。


その時

「おまえは、本当にあのこが好きなんだな」

突然、声をかけられ僕は驚いて顔を上げた。


偶然、通りかかった藤波様が僕の頭をなでながら、優しく笑っている。


まさか藤波様が、いらっしゃるなんて…

僕はかなりぼーっとしていただろう自分の顔を想像して、気恥ずかしくなり視線を下に落とした。

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