優しい涙
燃えるように熱かった体から熱がひいていく。


まだ潤んだままの瞳で周りを見回すと、僕を捕らえるために駆けつけた男達の姿が消えていた。


A7が僕を見つめ、背中をなでている。



「やりたいことが、あるんだろう?」

すぐそばで藤波様の声がした。

「おまえが、思っていることを言ってみなさい」


胸に響く、藤波様の優しい声におさまりかけた涙が再びあふれ出す。


僕は小さな子供みたいに、泣きじゃくった。



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