優しい涙
「私はね、おまえ達の意思を尊重してあげたいんだよ。

親元である工場から世間へ出す前にここで過ごし、育った感情や意思を聞き入れ、それから自分の道を歩かせてやりたいんだ。

機械だろうと人間だろうと、たったひとつの存在に、かわりはないからね」


藤波様は僕の表情が落ち着いたのを確認して


「ただ、なかなか理解されないがね」


と苦笑いして見せた。

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