きら星の短編集
「谷川(たにかわ)くん。これ、栗原くんに渡してもらえるかな?」
「あぁ、はいはい。」
そんなキョウがいなくなると、僕のもとへ次々と女子がやってきた。
……直接渡せよ、と言いたくなる気持ちをギュッと押し殺す。
そんな中、風に乗ってフワッと心が掴まれるようないい香りがした。
どうやら僕の前に立つ女の子の香りだ。
そしてこの香りは、僕が一番好きな女の子の香りでもあった。
「あ、あの……谷川くん。こ、これ……」
そう言って彼女は、僕の目の前にかわいくラッピングされた箱を出した。
……あぁ、そっか。
僕が好きな彼女も、キョウのことが好きなんだ。
こんなに顔を赤らめるくらい。
「……そこ、置いといて。」
僕は自分でも分かるくらいひどく冷たい声で彼女にそう言い放ち、その場を立ち去った。