きら星の短編集
初めて人を好きになった女子
……夕焼けに染まる教室のベランダは、私だけの特等席だった。
みんなに半ば押しつけられる形でなってしまった学級委員の仕事も大好きになった。
仕事を理由にして、一番いい場所を一人占めできるから。
……でも、雨の日は嫌い。
ベランダが使えないし、もし傘なんかをさしてベランダを使ったとしても、私の望む景色はそこにないから。
だから、雨の日は嫌い。
野球部の練習がなくなる雨の日は嫌い。
「篠原。悪いけど、今日は日誌のあとにこの資料をホッチキスでとめておいてくれないか?」
「はい、分かりました。」
今日は快晴。どんなに仕事が増えても、全然苦しくなんかない。
私はいつものように、みんなが帰ったあと、日誌を書き、頼まれた仕事を素早く片付け、特等席からグラウンドを眺めていた。
グラウンドではいつも野球部だけじゃなくて、サッカー部とか陸上部が練習をしているけど、私には彼以外、大した意味を成さない。
直接話したことはないし、多分彼は私の存在すら知らないだろうけど、それでもいい。
人生で初めて好きになった彼を遠くから見つめて、一人占めできるだけで幸せだから。