きら星の短編集
「篠原さん。」
突然、背後から優しい男の子の声が聞こえた。
「……菊池くん?」
そこには同じクラスの菊池くんが立っていた。
彼はサッカー部のエースで、女の子のようにかわいい顔をしてるんだけど、サッカーになると人が変わったように男らしくなる。
女の子に人気の男子の一人だった。
「どうしたの?」
だけど、さっきも言ったように彼はサッカー部。この時間にここにいるのはおかしい。
「今日は部活が休みなんだ。」
確かにグラウンドにサッカー部の姿はない。
菊池くんはゆっくりと私の隣に来て、グラウンドに目をやった。
「篠原さん、いつもここからグラウンドを見てるよね。」
「……うん。」
結構、外から目立つんだなぁなんて考えてた。