きら星の短編集
「何を見てるの?」
でも、思いがけずそんな質問をされて思考が止まった。
「……いや、誰を見てるの?って言ったほうが正解かなぁ。幸せそうな顔で。」
「それは……」
菊池くんはとても辛そうな表情を浮かべていた。
「……僕のことは見てくれないの?」
「えっ……?」
次の瞬間、私は菊池くんに抱きしめられていた。
「ちょっと、菊池くん……」
私は菊池くんに声をかけるけれど、菊池くんは何も言わない。
「……僕、篠原さんのことが好きです。」
しばらくして、菊池くんは体を離してくれ、私の目を見てそう言った。
「……一生懸命仕事してて、かわいくて、いつの間にか好きになってた。放課後、いつもグラウンドを見てて、僕のことを見ててくれたらなぁって思ってた。」
「そんな……」
……頭の思考はまだ止まったまま。でも、返事をしないとこの状況が動かないことは分かる。