きら星の短編集
「私……」
その時だった。
私たちのいるベランダに、野球のボールが飛び込んできた。
「……なんだろ?」
菊池くんはそのボールを手にとる。
「すげぇ……」
しばらくすると、グラウンドからどよめきが聞こえてきた。
「はぁ……はぁ……篠原さん!」
……嘘だと思った。
だって、私の目の前にユニホーム姿で息があがってる塚田くんがいたから。
「俺が打った……ボール、届いた?」
「塚田くんが打った……?」
私はその言葉を聞いて、菊池くんの手の中のボールを見た。
「これ……あんなところから?」
「うん、自分でもびっくりした。」
塚田くんはそう言って笑った。
「菊池、俺にもチャンスをくれ。」
塚田くんはそう言うと、菊池くんからボールを受け取った。