きら星の短編集
「もう陽が沈んじゃうね。」





「ねぇ、優太くん。明日もここに来てくれる?」





「え?うん……来るつもりだけど。」





「よかったぁ!!」




彼女はそう言うと、僕の手をその真白な自身の手で包んだ。





「私、待ってるね。優太くんのこと。」





「う、うん。」





僕は本当に見た目通り冷たい彼女の手に驚きながら、返事をした。





「蛍ちゃんは帰らないの?」





「……うん。」





僕が帰ろうとした時、彼女はとても悲しそうな顔をしていた。




僕にはその背景に何があるのかは分からなかったが、それ以上聞いてはいけないような気がしたので、それ以上何も言わず、彼女をそこに置いて、暗くなり始めた辺りを気にしながら帰ることにした。




「じゃあ、また明日ね。」




「……うん!」




心の中に強く残る彼女の笑顔は、この季節の中で一番の想い出になるのだった。

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