きら星の短編集
「じゃあ、私から言うね。私は、ここで優太といる時が一番楽しい。」





僕が恥ずかしくて言えなかったセリフを、蛍はいとも簡単に言ってのけた。





「いつも一人だったから、優太がここに来てくれるようになってとっても嬉しいの。」





「……僕も。一人ぼっちだったのに、蛍が一緒にいてくれて、とっても楽しいんだ。」





こうなってしまっては気持ちを隠す必要がない。





「……このままずっと一緒に夕陽が見られればいいのにね。」





「えっ?」





蛍は突然そんなことを言って、僕の手を握った。





それはいつかと同じように、とても冷たい手だった。





「……このままじゃダメ。」





「……蛍?」





辺りが徐々に夕陽色に染まり始めてきた。


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