きら星の短編集
「……空の上からね、いつも優太のことを見てた。短い命なのに、他のまばゆい光になんか惑わされずに、ずっと優太のことを見てたんだよ。」





「……どうしたの?蛍。何言ってるか、僕よく分からない……」





僕の言葉に蛍は反応せず、ただ真っ直ぐに僕の目を見つめていた。





「……私と会う前、優太、ここで泣いてたでしょ?」





……確かにそんなことがあったかもしれない。





でもどうしてそれを蛍が知っているのだろう。





「あの時の夕陽がね、とっても綺麗だった。優太の涙がキラキラ反射して、あんなに綺麗な夕陽はもう私の短い命の中では見られないと思った。」





……そんなにあの日の夕焼けは綺麗だっただろうか。





僕には、やはり蛍と出逢った日の夕焼けが一番綺麗だったと思う。





「……この人の力になりたいって思った。この人の一番近いところにいたいって思った。だから、あの日優太の前に現れたの。永らえた命の力を、人間になりたいという願いに使って。」





……蛍はそう言って、涙を流し始めた。


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