きら星の短編集

「じゃあ、好きな人はいないの?」




私がそう尋ねると、達也はそれまでの余裕ある表情を崩して、今までに見たことがないくらい顔を赤くした。





「え、何?どうしたの?」





「……いるよ。」





私が尋ね返すと、達也は落ち着いた声でそう言った。





「……へぇ、そうなんだ。じゃあさ、私なんかよりその子と一緒に帰ったら?」





ほんの冗談のつもり。達也の恋を応援したい気持ちもあった。




「……お前、それマジで言ってんの?」





「え、どうしたの?怒るようなこと言った?」





「言った。お前さ、俺と一緒に帰れなくなってもいいの?」





え……あまり考えたことなかった。でも確かに、達也に彼女ができたら、こうやって一緒に帰ることも無くなるんだ。





……そう考えると寂しいかも。





でも……
< 57 / 72 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop