きら星の短編集
「じゃあ、好きな人はいないの?」
私がそう尋ねると、達也はそれまでの余裕ある表情を崩して、今までに見たことがないくらい顔を赤くした。
「え、何?どうしたの?」
「……いるよ。」
私が尋ね返すと、達也は落ち着いた声でそう言った。
「……へぇ、そうなんだ。じゃあさ、私なんかよりその子と一緒に帰ったら?」
ほんの冗談のつもり。達也の恋を応援したい気持ちもあった。
「……お前、それマジで言ってんの?」
「え、どうしたの?怒るようなこと言った?」
「言った。お前さ、俺と一緒に帰れなくなってもいいの?」
え……あまり考えたことなかった。でも確かに、達也に彼女ができたら、こうやって一緒に帰ることも無くなるんだ。
……そう考えると寂しいかも。
でも……