イデア

■ニ


前に聞いたことがあるのは、覚えてる。

「汐映のこと好きなの?」


陽都と静は、何て答えたんだったかな―――。





中学に入る頃には、男女の差みたいなものが現れ始めて、
陽都と静にも彼女という存在ができた。


汐映のことをあんなにも大切そうに見つめて、
彼女といちゃつく2人を、私は無性に不誠実だと思った。


私の初めての彼氏は、チャラくも真面目でもなく、普通の人で、まあまあイケメン。
告白されて付き合ってみたけど、どんどん好きになってるのが自分でもわかった。


でも私は汐映のことが心配で心配で・・・・
どうしてそんなに心配だったのか、わからなかったけど傍にいてあげたかった。


だから、彼といる時間より汐映を優先してしまっていたんだと思う。


「え?」

「立川(タチカワ)君、他の女の子を遊んでたらしいよ」



同級生の言葉に、ふぅんなんて返していても、内心穏やかじゃなかった。
そりゃあヤキモチだって妬く。

でも、女友達くらいいるよね。



そう思ってた。
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