イデア
「立川・・・・・・」
「れ・・・伶!」
立川、つまり私の彼氏が女子と抱き合っている。
普通の私だったらあり得なかったと思う。
ただ、それは今までに経験したことのない問題で、悲しさと悔しさと怒りが一気に湧いてきた。
「・・・っきゃ・・」
「・・・・・っ」
何も考えず、私はその女子に掴みかかっていた。
細い腕を掴む手に力は入らない。
本当はわかってる。
この子は何も悪くなんかないってこと――――。
「伶・・・!」
私は彼女から引き剥がされるようにして離れた。
「ごめん・・・・伶・・・この子に何もしないで」
立川の意外な言葉に目を見開いた。
「好きな・・人・・なんだ」
その言葉の後、私は何か言ったのかも、どんな顔をしていたのかも覚えていない。
気が付いたら私はいつものように汐映たちと一緒にいて
「伶、何かあったの?」
静にまで心配されていた。