【完】そばにいるだけで



沈黙が流れる。



先輩は、ベンチの背もたれに体を預け、おもむろにポケットから缶コーヒーを取り出した。



黙ったまま、少し口に含んでは遠くを見、また含んではうつむき。



そして、視線を遠くにやったまま、おもむろに口を開いた。



「何があったんだ?」



わたしはその問いに、即答できなかった。



頭の中でいろいろ考えて、



「……ちょっと」



と呟くと、先輩はまた鼻で笑った。


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