【完】そばにいるだけで
すると。
突然わたしは先輩に引き寄せられ、胸の中にすっぽりと収まってしまった。
先輩は黙ったまま、わたしをぎゅっと抱きしめる。
わたしは何が起こったのかわからなくて、しばらく動けなかった。
「……俺の胸貸してやるから。泣いちゃえよ」
先輩のその言葉で、スイッチが入ってしまった。
先輩の体温を感じ、抱きしめる腕の強さを感じ、そしてその優しさがたまらなくて、涙が溢れてしまった。