【完】そばにいるだけで



先輩はただ、わたしの髪を優しく撫でてくれていた。



わたしがひとしきり泣き終わると、先輩はわたしの顔をのぞき込み、優しいまなざしを向けた。



少しときめいている自分がいて、動揺した。



すると、先輩はわたしの頬をそっと包み、囁いた。



「キス、してもいい?」



それを聞いて、わたしは一瞬目を見開いた。



わたしが、うん、とも、ううん、とも言わない間に、先輩のくちびるはどんどん近づいてきていた。


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