【完】そばにいるだけで



わたしは、とっさに、



「ダメ!」



と言って、顔をそむけた。



すると、先輩はわたしの頬にあった手を下ろし、目を伏せた。



「……ごめん」



わたしは小さく首を横に振った。



二人の間に微妙な沈黙が訪れた。



先輩は、目を伏せたまま、顔を上げない。



わたしも地面を見つめたまま、何も言えずにいた。


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