【完】そばにいるだけで
だけど、ひとつわかった。
わたしは、やっぱり桐生くんが好きだってこと。
さっき昴先輩にキスされそうになって、はっきりした。
先輩も素敵だけど、わたしが好きなのは、桐生くんなんだ。
桐生くんじゃなきゃ、ダメなんだ。
「……先輩」
うつむいたまま、穏やかに呼びかける。
「なに?」
先輩もうつむいたまま、静かに答える。
「わたし……好きな人がいるんです」
そう言うと、先輩は少し鼻で笑った。