【完】そばにいるだけで
どうせわたしなんて
桐生くんは、淡々とそして飄々(ひょうひょう)と、日々を過ごしていた。
最初、出席番号順だった席順も、席替えのせいで桐生くんとはずいぶん離れてしまい、わたしは、彼をちらりちらりを盗み見する日々が続いていた。
ある日の朝。
わたしはいつもと違う車両に乗った。
すると、わたしから少し離れたところに座っている桐生くんを見つけた。
思いもよらない展開に、体が一瞬びくんとした。
ずっと見つめていたいのに、視線が合うのが怖くて、ちらりちらりと視線を上げたり落としたりを繰り返していた。