【完】そばにいるだけで
ああ、何を言っているんだろう。
何を言っても言い訳だ。
昴先輩の胸を借りて泣いちゃったのは、事実だ。
「僕は、頼りないかな」
そう言って、桐生くんは自嘲気味に笑った。
哀しげな目がわたしの瞳に映る。
「違う。そうじゃない」
わたしが好きなのは、桐生くんなんだよ。
……。
あれ?
ちょっと待って。
……そうだ。
わたしはあの時、桐生くんのこと、頼りないって感じてた。
桐生くんが物事を決めてくれないこと、頼りない、って思ってた。