【完】そばにいるだけで
恋の秘訣
桐生くんを傷つけた。
怒ってる?
呆れてる?
落ち込んでる?
何をしていても、ため息が出る。
去って行った桐生くんの背中が、忘れられない。
桐生くんになんて言えばいいんだろう。
何をどう説明すればいいんだろう。
わたしは、桐生くんと話す勇気がなくて、いつもと違う車両に乗った。
あんなにきらきらと輝いていた車窓からの景色も、くすんで見える。
クリスマスで浮かれている町並みも、今のわたしにはよけいに疲れを感じさせる。
「はぁ……」
またひとつ、ため息が漏れた。